2026年08月26日
海外で資産を運用する経営者が増えています。
円安が続くなか、外貨建ての金融商品や海外口座を活用してリターンを追う動きは自然なことですが、今年6月に出た最高裁判決が、その運用に伴う税務リスクを明確に示しました。
令和8年6月16日、最高裁判所は、スイスの金融機関に運用を一任していた居住者に対する更正処分が適法であるとする判断を下しました。
問題となったのは、ドルでユーロを買う、外貨で外国株式を購入するといった「外貨同士の交換」です。
外貨を円に戻したときだけ課税されると思っている方が多いのですが、外貨から別の外貨に換えたその瞬間にも、為替差益が「雑所得」として確定し、確定申告が必要になります。
今回の事案では、本人が直接操作するわけではなく、外国の金融機関に運用を「一任」していました。
それでも最高裁は、個々の通貨交換や外貨建て有価証券の取得のたびに課税関係が生じると明示しました。
「運用はプロに任せているので自分には関係ない」という認識は、税務上は通用しません。
海外の金融機関が発行する運用報告書には円換算の損益が記載されていないことが多く、ご自身で取引明細を取り寄せ、取引ごとに円換算額を確認する必要があります。
申告漏れが税務署に把握された場合、本来の税額に加えて過少申告加算税が課されます。
さらに、故意に隠したと認定されれば重加算税の対象となる可能性もあります。
近年、国際的な情報交換制度(CRS)の整備により、海外口座の残高や取引状況は各国税務当局間で共有されており、「海外だからわからない」という認識はもはや通用しません。
外貨建て資産を保有されている方にまずお願いしたいのは、海外口座の取引明細を金融機関に請求し、外貨同士の交換や外貨建て有価証券の取得が発生していないかを年ごとに確認することです。
取引日ごとの円換算額の計算は地道な作業ですが、正確な申告の土台となります。
心当たりのある方は、早めに専門家へご相談ください。