2026年08月24日
「使っていない金型を、ただ預かってもらっている」そんな状況があれば、少し立ち止まって確認していただきたいことがあります。
中小企業庁が令和8年6月10日に公表した資料によると、令和7年度に取適法(中小受託取引適正化法)違反として中小企業庁が公正取引委員会に対応を求めた措置請求は、過去最多の9件にのぼりました。
この9件で勧告対象となった違反行為は10件あり、そのうち8件が「金型・治具・印版・木型などを、発注を止めたまま無償で保管させていた」という同じパターンの違反でした。
対象には大手電動工具メーカーや自動車部品メーカーも含まれていました。
金型を保管するには場所・人手・コストがかかります。
発注が終わっているのに保管費用を一方的に負担させ続けることは「不当な経済上の利益の提供要請」として禁止されています。
金型の棚卸作業まで無償でやらせていたケースも違反として指摘されました。
発注側として、過去に貸与した金型・治具を取引先に保管させたままになっているものがあれば、今がチェックのタイミングです。
発注を停止してから時間が経っている金型等について、
①今後使う予定があるか
②廃棄・返却できないか
③保管を続けるなら保管料を支払う取り決めがあるか
の3点を確認してみてください。
「取り決め自体はあるが、廃棄時までの分は支払っていない」という抜け漏れも、実際の違反事例として報告されています。
また、振込手数料を代金から差し引く行為は、取引先との合意があっても違反となりました。
書面での合意があれば問題になりにくいと理解されていた実務もありましたが、社内の支払処理ルールを見直す必要があります。
原材料費や人件費が上がっているのに、価格相談に応じず従来価格を据え置く対応は「買いたたき」に該当するおそれがあるほか、新たに「協議に応じない一方的な代金決定」という規制対象も加わりました。
価格交渉の申出があった際は、いつどのような説明をしたかを記録に残しておくことが、後のトラブル防止につながります。
決して大企業だけの話ではありません。
日頃の取引慣行を一度棚卸しする良い機会として、ぜひご確認いただければと思います。