2026年05月11日
租税特別措置の適用実態調査は、財務省が、措置法の利用状況を毎年国会に報告しているものです。
制度の効果や課題を検証するための基礎データとして位置付けられているものです。
最新のものは、令和8年2月付の「令和6年」版です。
印象的だったのは、特別償却と比較して税額控除の利用が7倍近くと圧倒的に多い点です。
特別償却が課税の繰延べであるのに対し、税額控除は事後年度に尾を引かない、からでしょうか。
同報告書から、M&Aに関連する中小企業事業再編投資損失準備金については、経済活動としてのM&Aの実績件数(R7年5115件)に対し、その適用件数が110件(R5年77、R4年69)と極めて少数です。
適用総額を件数で割って0.7で割ってみると、平均2.5億円程度のM&A案件であることが分かります。
本措置は5年後からの益金算入があり、適用での認可制度、事後報告制度と煩雑なので、適用が躊躇されているのかもしれません。
一方で、賃上げ促進税制は、R6年度で30万社近くが利用しており、税額控除適用額も1兆円近くと、税額控除適用制度の中の半分近くを占める制度になっています。
広く浸透している制度なので、何年か前までは、適用失念の申告書提出により、税理士損害賠償事件となった事例が多く、税賠訴訟の中のトップの位置にありました。
利用が広がることはそのまま税収減につながるため、制度が普及した段階では、見直しが検討されるということも有り得ます。
令和8年度税制改正で、賃上げ促進税制の、
①大企業向けの1年前倒しでの廃止
②中堅企業向けの要件強化の上でR9.3.31の期限で廃止
③中小企業向けの教育訓練費上乗せ措置の廃止
となったのも、その例です。
利用頻度が低い制度は、適用期限の到来をもって廃止、との措置が毎年採られています。
もしかすると、M&A促進税制は、利用頻度の低い制度との判定を受けるかもしれません