中小企業の経営者の高齢化が進む中、後継者をどうするか悩んでいる会社は多いです。
相続や税金、債務保証、家業の問題に加え、後継者候補の「経営者の資質」を見極めなければなりません。
事前準備、適切な情報伝達、関係者への配慮も重要となります。
東京商工リサーチの2024年の調査では、同社に登録している約157万社のうち、同年中に代表者が交代した会社は約6.7万社(4.2%)。代表者の平均年齢は、交代前の71.1歳から、交代後は54.4歳となるそうです。
このような場合、後継者の代表取締役就任と同時に、前社長は代表権のない会長や相談役に退くケースがよくあります。
このタイミングで前社長に対して役員退職金を支給した場合、税務上の取扱いには注意が必要です。
この退任を機に、「役員の地位や職務の内容が激変」し、「実質的に退職したと同様の事情にある」ならば、退職給与として認められます。
一方、仕事が変わらず、実質は退任していないと認定された場合、役員賞与とされ、定期同額給与等以外の給与として損金不算入となります。
また、これを受け取った前社長側も退職所得でなく、給与所得として取り扱われ、所得税等の負担が増える形になります。
法人税の通達では、退職金として取り扱うことができる場合を3つ例示しています。
役員退職後も「経営上主要な地位を占めている」かは、事実認定の話にはなりますが、裁判や審判所の事例が参考になります。
【経営上主要な地位を占めている事例】