令和7年3月期の上場会社の有価証券報告書を見ると、見慣れない勘定科目があります。
いすゞ自動車の貸借対照表の固定負債には、「長期未払法人税等」に237百万円、損益計算書の「法人税、住民税及び事業税」の下の「国際最低課税額に対する法人税等」に同じ237百万円が計上されています。
注記には「『グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い』等を当事業年度の期首から適用しております。」と記載されています。
この「グローバル・ミニマム課税」とは、年間総収入金額が7.5億ユーロ以上の多国籍企業が対象として、一定の適用除外を除く所得について、各国ごとに最低税率15%以上の課税を確保する仕組みです。
日本でも、国際的な合意に沿って、次の3つのルールを導入することとなりました。
ごく簡単に言うと、海外子会社の税負担が国ごとに15%に足りない分を日本の親会社で課税しようというものです。
「所得合算」という名称が紛らわしいのですが、実際には、海外子会社の所得を親会社に合算する訳ではなく、基準税額(15%)に満たない部分を課税標準としています。
⑴ 課税標準(国際最低課税額)