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人手不足時代の経営術 今こそ組織の再設計を

過去最高水準の人手不足

 2025年1月時点で、正社員の人手不足を感じる企業は53.4%に上り、これは2018年の最高値に迫る水準です。
 特に運輸・建設・サービス業で深刻で、「人が集まらない」「すぐに辞める」という声が各所で聞かれます。
 業種・規模を問わず、人材確保が経営上の最重要課題となっている今、従来のやり方ではもはや通用しないフェーズに入っています。

採用だけでは解決しない

 調査によれば、約6割の企業が「人材確保・採用」を課題に挙げていますが、「人材育成」や「職場環境の改善」が遅れている実態も浮かび上がっています。
 特に「職場環境の整備」に関しては、半数近い企業が「実施していない・予定もない」と回答しており、人的資源を活かす視点が十分とは言えません。
 採って終わりではなく、「育て、定着させる」発想への転換が不可欠です。

人材多様化への取り組み不足

 政府が推進する副業人材やプロ人材の活用、高齢者・外国人・障がい者雇用に関する取り組みは、中小企業ではまだ広がっていません。
 実際、調査では「副業・兼業人材の受け入れ」については約7割が「実施予定なし」と答えており、新たな労働力への理解と準備が進んでいない現状が明らかです。
 固定観念を捨て、多様な人材が働ける制度設計が急がれます。

賃上げ・評価制度の見直し

 人材確保に直結する賃上げですが、「実施予定なし」とする企業は全体の2~3割に上ります。
 中でも卸売業・小売業では実施率が低く、業界特有の構造的課題も影響しています。
 また、人事評価制度や処遇改善に着手している企業は6割を超えており、「人への投資」に取り組む企業とそうでない企業の二極化が進行中です。

中小企業が今やるべきこと

 人手不足は構造的な問題であり、一朝一夕に解決できるものではありません。
 しかし、人材を「コスト」ではなく「資産」として捉え直すことが、これからの中小企業経営の鍵を握ります。
 人手不足という難局は、実は自社を変える絶好のチャンスです。
 今こそ、自社の魅力や働き方を見直し、「選ばれる企業」へと進化していきましょう。